生物学的解決

言い換えれば、ごく一部の例外を除いて、スポーツや音楽の流行は、ひとつの世代の人間たちの生き死にと運命をともにするものなのだ。だから、B.B.キングとともにブルースが滅び去り、マイルスの死にタイミングを合わせてジャズが行き過ぎ、オレら五十代の人間たちの肉体的摩滅とともにロックが滅亡しつつあるのと同じように、野球もまた、表舞台から去っていく運命にある、と。

こちら第2編集部隊

野球がどうなのか知んないけど、たしかに北斗の拳とか自分の世代(が多分一番下)にとってのあーそんなのあったねみたいなのがさいきんやたらめについて、そして10年もすればもう二度と北斗の拳を目にすることはなくなるのだろうなと見ていて思う。

肉体的摩耗どころか実際に肉体ごと滅亡したりもする。郷愁。

だから、10メートルも離れると、ボールの受け渡し自体が成立しない。
互いにストライクが投げられないからだ。もちろん、ゲームなんか
まるで成立しない。第一に、ストライクゾーンに投げられるピッチャー
がいないし、第二に、一塁に投げる送球の半分以上が悪送球だからだ。
ついでに申せば、第三に、そもそも二つのチームを作るだけの頭数
が絶対に集まらない。まあ、集まってもフォアボールとエラーと
悪送球と振り逃げで、一回の表が終わらないわけだが。

運動能力の問題ではない。サッカーのボールリフティングを器用に
こなす子供はたくさんいるし、水泳のエキスパートもいる。体操教室
に通っていてバック転ができたりする子供もいる。なのに、その彼ら
が、マトモにボールを投げられないのである。

ルールも知らない。私の息子も含めて、今の小中学生のほとんどは、
ヒットエンドランの戦略的な意義を正確にわかっていない。フォース
アウト(つまり、タッチプレーとフォースプレーの違い)を理解して
いる少年もほとんどいない。

このへんは読んでて、さいきんの若いやつはろくにアセンブラが書けないっていうはなしを思い出した。
Red Sweater Blog - C Is The New Assemblyっていうのもあった。

大学で古代の名マシンらしいPDP11というののアセンブラマインスイーパとかを作るという、おいおいx86ででもアセンブラでアプリケーション書いたりしないだろ、みたいな講義があった。
当然実機はないのでx86上で動くPDP11バーチャルマシンでやる。年を経るに従ってそのVMが高機能になっていくところはすごかった。デバッガの充実とか。文字に色が付けられるようになるとか。そしてデバッガが充実すると開発コストが下がるので当然提出される成果物のレベルも格段に上がっていて、なんかおもしろかった。開発ツールは大切だ。

えーっとそうじゃなくてPDP11のアセンブラCISCっぽいつくりで、アドレッシングモードが6くらいあって、それもすさまじいやつがあった。
もうアセンブラ書けないからCで書くと

int *base;
register int index = 0;
register int eax;

eax = base[index++];

っていう、レジスタに入ってる値のメモリアドレスから値をレジスタに読み込んで、インデックスに使ったレジスタの値もインクリメントする、みたいなのがひとつの命令で出来ちゃう。どんだけComplex Instructionなんだよ、みたいなアドレッシングモードがあって、はじめそんなのどう使うんだよと思ってたけど、実は文字列コピーをするときにめちゃくちゃ便利だったりして、あと、デクリメントするバージョンもたしかあったんだけど、そっちはループをまわすときに便利でよく考えられてアドレッシングモードつくられてるな、みたいなことがあったり。


でもそんなへんなアドレッシングモードつくって命令数減らしてコードを書きやすく、実行する命令数を減らして早くするよりも単純にクロックあげた方が早いよね、ということになって芸術的アドレッシングモードは全部捨て。なるほど。

だからなんか野球がどうとかじゃなくて、でも思い入れがあるのがこの世代だと野球で、なるほどとおもう。


ぼくらの世代ではそれがnapsterだったりするのだ。
今の若いやつらはnapsterも知らんのか。
違う、あのださい電話屋の飼い猫だったやつじゃない。
それはちがうnapsterだ。

くだらない。
でも共感は持てる。涙する。